古書と洋書と新刊書籍の店


by 451books

<   2011年 05月 ( 6 )   > この月の画像一覧

ARRIVAL(アライバル)

d0137603_17155679.jpg
今回紹介する絵本は、ARRIVAL。
「到着」「到着地」という意味のタイトルです。
文字がほとんど無いので、文字無し絵本のジャンルに入りそうですが、ページ数も128ページ。内容からしても文字無し小説と言ってもよさそうです。
以前に紹介した「ユゴーの不思議な発明」は、小説のなかの挿絵が、挿絵だけで物語が進んでいくという絵本と小説が一緒になったような本でしたが、ARRIVALは、絵だけで物語を表現しています。


d0137603_1717237.jpg
見返しには、パスポートに貼る証明写真のような、人物の正面から捉えた絵が数多く並べてあります。
表紙の少し古びたハードカバーに対応しているような少し昔の人々のようにも見えます。
最初の扉は、何処の言葉か分からないような不思議な形の文字が書かれていています。


d0137603_17175387.jpg
次の扉に「ARRIVAL」の文字。
主人公の男性の横顔と共に、コラージュもレイアウトされています。



d0137603_17181758.jpg
物語は、妻子と別れニューヨークを思わせる新天地に、移民のように入国するシーンからはじまります。
その新天地には、巨大な生物、不思議な建物や乗物、全てが現実の風景と異なる不思議なものに溢れていました。
そんな新天地で、彼は新しい生活をはじめ、色んな人に出会います。



d0137603_17194745.jpg
モノクロームを基調として、独特の空気感と不思議な物たち、精緻な絵を描いたのは、オーストラリアの作家(イラストレーター、絵本作家、アニメーター)ショーン・タン。
父親がマレーシアからの移民してきた中国系オーストラリアンとのことで、この作品は父親へのオマージュなのかもしれません。


d0137603_17244678.jpg
128ページの中には、見開きで一枚の絵のページもありますが、多くは漫画のコマ割のように物語を紡いでいます。
その精緻さは、この作品を描くのに4年かかったのが短いようにすら感じます。
ARRIVALは、今回日本語版も登場しましたが、文字のない本ということもあって、英語版を手にとって、本としての質感を楽しんでもらえたらと思います。

451ブックスの紹介ページ → 「ARRIVAL


[PR]
by 451books | 2011-05-29 17:23 | アート・デザイン | Comments(0)
d0137603_20402749.jpg
オレンジ色のゾウの鼻にロープが絡んでいる表紙。
1963年に出版されたWilliam Wondriska(ウィリアム・ワンドリスカ)の代表作が、復刻版として入荷しました。
そのタイトルは、「A Long Piece of String」。

長い糸という意味ですが、英語と長さのバランスが合わせて「ナガクテ ナガイ イト」としてみました。
カタカナの表記だと、William Wondriskaも喜んでもらえそうです。


d0137603_20411362.jpg
ゾウに絡んでいる糸は、絵本の中へ続いていくのですが、カバーをはずしてみると、表紙に絡み合った糸が現れてきます。
カバーの裏が表のざらついた質感とは違い、光沢のある質感になっています。
その表を触ってみると、ゾウのオレンジ色の部分はインクが盛り上がった特殊印刷。
A Long Piece of Stringを触ってみると、活版印刷のように文字の形に凹んでいます。
糸の部分も凹になっています。


d0137603_20452057.jpg
見返し部分も糸に溢れていますが、ページをめくるとワニが登場します。
全てのページが、オレンジと糸の黒のみで描かれています。

William Wondriskaは、アメリカ生まれのグラフィック・デザイナー。
1931年に生まれ、イェール大学、シカゴ美術館附属美術大学を卒業後、教鞭もとっています。
グラフィックデザイナーとしても、数々の受賞歴がある。



d0137603_20555549.jpg
絵本は、11冊ほど作られているそうですが、ほとんどが入手困難な状況です。

糸は、鳥からお城へつながり、文字のないまま、物語が続きます。
どのページにも、それぞれ違ったオレンジ色が登場し、黒い糸が自在に絡む美しい絵本です。



d0137603_20562314.jpg
太陽もつながり、どんなものでも絡んで、最後は何処へ。

451ブックスの紹介ページ → 「A Long Piece of String






[PR]
by 451books | 2011-05-20 20:43 | 絵本・児童書 | Comments(0)
d0137603_1091610.jpg
今年の流行語に選ばれそうな、枝野幸男官房長官の「ただちに健康に影響を及ぼすことはありません」。ほとんどの人は、その言葉が「後に(確実に)健康に影響を及ぼす」という意味であることに気づいていると思います。ただ、どのくらい影響があるのか。放射能はどんなものなのか、さっぱり分からないと思います。

マスコミ(テレビや新聞)には、放射線は体に良いなんていうトンデモ科学を披露する学者といわれる方も登場し、放射能について何ベクトルとか、何シーベルトとしか説明せず、放射性物質から与えられる深刻な影響をほとんど報道しません。まるで、今良ければそれで良いじゃないか(心配なのは経済と停電)、といっているようにさえ見えます。

深刻な事故となってしまっている今回の原発事故。福島だけでなく、関東、日本全域、世界、そして何千世代先まで確実に負の遺産を残します。

自分の身や家族、子どもたちの将来を守るために、放射線と放射能について正しい理解がどうしても必要です。
日本に住む、子どもを持つお母さんやお父さん、若い女性や男性。「ただちに健康に影響がない」ことに、なんとなく大丈夫と思う前に、知っておいてほしいと思います。

参考になる書籍(451ブックス)
・放射線と放射能
 「改訂版 放射能そこが知りたい」、「図解雑学 放射線と放射能
・原子力発電
 「知ることからはじめよう
[PR]
by 451books | 2011-05-15 10:38 | 書店な日々 | Comments(0)

おおきな木

d0137603_8294990.jpg
来週、5/13(金)の「大人のための絵本講座2011」は、シェル・シルヴァスタインの「おおきな木」を取り上げます。

昨年9月に、村上春樹の新訳で再度注目されることになったシェル・シルヴァスタインの代表作。
一見、子ども向けの絵本のように見えますが、読者の年齢や、経験によって大きく見え方も感じ方も変わる、不思議な絵本です。


d0137603_8301712.jpg
今回の絵本講座では、「おおきな木」と共にたくさんの人に愛されている「ぼくを探しに」、「ビッグ・オーとの出会い」をはじめ、モノクロ(ほとんど線画)で描かれた絵本を紹介します。

彼独特の作品が誕生した秘密、絵本作家である以上に、シンガーソングライターであった彼の生涯も紹介します。


d0137603_8303638.jpg
彼の唯一のカラー作品「コノヒトタチつっつくべからず」や、不思議なイラストを集めた「Different Dance」など、大人向けの作品も紹介する予定です。

1時間30分、CAFE Zのおいしいお茶と共に、シェル・シルヴァスタインの世界を楽しみたいと思います。
「大人のための絵本講座2011」は、単発での参加も可能です。
お申し込みは、CAFE Zにて承っています。


  会場・申込先  CAFE Z
      岡山市浜野2-1-35  TEL 086-263-8988(要予約)
  日時  5/13(金)19:00〜20:30
  受講料 1回1,500円(お茶とクッキー付)
[PR]
by 451books | 2011-05-04 08:51 | イベント・教室 | Comments(0)
d0137603_2027688.jpg
今日(5/2)発売の月刊モエ(MOE)に、451ブックスが掲載されました。
今回の特集は、「絵本屋さんに行こう。」。
全国の素敵な絵本屋さんが写真やインタビュー、オススメな本や小物まで、たくさん紹介されています。
やっぱりはずせない「恵文社一乗寺店」や、「トムズボックス」、「ユトレヒト」、「Fabulous OLD BOOK」、奈良に行ったときに行き損ねた「パビリオン」、大阪肥後橋の「calo」さん。どちらも素敵なお店です。
絵本への愛情がたまらないですね。


d0137603_20273247.jpg
451ブックスを載せて頂いているのは、綴じ込みの保存版データブック「全国の絵本屋さん100」の中、中国四国エリア。
少し大きめに紹介して頂いて、実物よりかっこいいです。(もうちょっと地味です、実物は)
とても丁寧に取材してもらった今回、MOEの編集者さんがとても絵本好きで、(図に乗って)オススメの絵本などもお話しをさせて頂き、楽しい出会いになりました。

今回の特集はもちろん、次号も楽しみです。


[PR]
by 451books | 2011-05-02 20:51 | 媒体・取材・マスコミ | Comments(0)
d0137603_14425813.jpg
1983年の「こどものとも」として出版されていた神沢利子さんと林明子さんの絵本「いってらっしゃーい いってきまーす」が復刊されました。
長らく絶版になっていたのが不思議ですが、林明子さんの傑作絵本のひとつです。

はっきりと描かれた輪郭線と、カラフルな色が特徴ですが、当時としては少し進歩的な家庭を描いた絵本です。



d0137603_14432916.jpg
主人公のなおちゃんは、お父さんといっしょに自転車に乗って保育園にいきます。
どうやら絵描きのお父さんが家事を、お母さんが働きに出ているようで、保育園のお迎えはお母さんの役目です。
そのなおちゃんとなおちゃんの住む街、人々の一日を、林明子さんの丁寧な視線とタッチで描いています。



d0137603_1443492.jpg普通に文字を読むと、この絵本は、なおちゃんの一日の物語です。
ところが、絵をじっくりと読んでいくと、色んなところに、色んな物語が隠されています。
写真は、信号のボタンを押すことができて満悦なおちゃんとおかあさんですが、道路の向こうの方にはネコが1匹。後ろの木の上には青い鳥が1羽、留まっています。
表紙にも青い鳥とネコは描かれていて、絵本全体が青い鳥とネコの一日の物語になっています。
ほかにもまだまだ、絵を読んでいくと物語や仕掛け、謎まであって、絵を読むことの楽しさを教えてくれる、林明子さんの絵本です。


 451ブックスの紹介ページ → 「いってらっしゃーい いってきまーす
[PR]
by 451books | 2011-05-01 15:16 | 絵本・児童書 | Comments(0)