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カテゴリ:写真・映画( 9 )

北前船と桃岩荘

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岡山の写真家尾上太一さんの新作「島を愛す」が451ブックスにやってきました。
昨年出版された「北前船」と共に、モノクロ写真の美しさが引き立つ写真集です。

どちらの写真集も、収録されている写真は全てモノクロ写真。
お話しを聞くと、モノクロにも関わらず、マットブラックをくわえた三色印刷とのことで、普通の印刷では出ない肌理の細かさと階調の豊かさがあります。



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北前船は、江戸時代から明治時代にかけて、北陸以北の日本海沿岸諸港から関門海峡を経て瀬戸内海の大坂に向かう航路を行きかう船のこと。
その北前船の航路をたどって、港や海、建物、ゆかりのものを尾上さんが撮影しています。
また、写真の解説や、北前船の解説も充実した一冊。
当時の豊かな景色が甦ります。


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ハンディタイプの判型にもかかわらず、写真の迫力におどろかされる「島を愛す」。
礼文島にある有名なユースホステル「桃岩荘」の記録です。
全てモノクロ写真であるが故、礼文島や、その自然、桃岩荘、囲炉裏、ギター、見送り、海、それぞれの景色が、存在感を持って拡がってきます。



「島を愛す」の出版を期に写真展が行われます。→ GALLERY GROSS & COFFEE
 451ブックスの紹介ページ 
   → 「北前船-鰊海道3000キロ」、「島を愛す-桃岩荘/わが青春のユースホステル
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by 451books | 2011-08-05 09:16 | 写真・映画 | Comments(0)

たのしい写真

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ホンマタカシ「たのしい写真」が入荷しました。

この本、今月から「カルチャーサロン青山」ではじまる「たのしい写真 よい子のための写真教室」のテキストだそうです。(絵本教室に流用できそうなタイトルですが、そのまま使うとパクリなので「たのしい絵本、わるい大人のための絵本教室」?)


d0137603_2129133.jpg内容は至ってマジメで、基本に忠実。

デジタルが主流な写真の世界でも、暗室の紹介があったり(懐かしい機械が・・・)、「決定的瞬間」を軸とした年表とか、絞りとシャッター速度の関係とか、今の状況を含めて、とてもわかりやすい説明(ホンマタカシさんの写真観に載せて)が続きます。

d0137603_2134557.jpg左は、建築写真家ジュリウス・シュルマン。モダンな建築写真で有名な彼の登場や、対談形式を含めた構成。
写真を撮ることだけでなく、観ること、考えることについて語られています。

殆どはモノクロ写真に占められている245ページが、改めて写真の楽しさを教えてくれる1冊です。
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by 451books | 2009-07-06 21:50 | 写真・映画 | Comments(6)
d0137603_1122124.jpg1981年公開のフランス映画「愛と哀しみのボレロ」、初公開時に映画館に足を運んだ口です。

この映画は、クロード・ルルーシュ監督の傑作として、 またモーリス・ベジャール振付、ジョルジュ・ドンの踊りでも広く知られていますが、なぜか日本語版DVDが廃盤のままになっているのです。


d0137603_10572373.jpg今回、451ブックスにフランス語版DVDが入荷したのですが、原題は「Les Uns et les Autres」。
「それぞれの(人たち)」 と訳すこともできますが、1930年代のモスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨークに始まり、1980年までその家族の人生のさまざまを追うストーリーを表しているようです。


音楽が、フランシス・レイとミシェル・ルグラン、でもその内容は、戦争に遭遇し過酷な戦後をも生き抜く家族の物語で、メッセージ色も強く感じるものです。
アウシュビッツやソ連、冷戦など、戦争や国家に翻弄されつつも力強く生きていく家族を、親、子と同じ俳優で演じ分ける演出は、最初見た時は混乱は免れないのだけど、そこに込められた想いも深く伝わってきます。
ラストのラベルのボレロとジョルジュ・ドンの踊りが今でも強く印象を持っていますが、3時間近い大作、今でも多くの人に見て貰いたい作品です。
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by 451books | 2009-03-26 13:04 | 写真・映画 | Comments(0)

見学に行ってきた。

d0137603_232615100.jpg大手取次(※)にはシカトされる451ブックスですが、本好きの方であふれている出版社さんは、岡山の小さな本屋にも本を届けてくれます(と、誤解してます)。
そんな素敵な出版社のひとつ、マーブルトロンさんの中から一冊、少し異色な本を。

タイトルは「見学に行ってきた。」。
「社会科見学に行こう」をを主宰している小島健一さんの写真集です。

d0137603_23365761.jpg帯にもあるとおり、日本の巨大工場、地下世界、廃墟など、「日常の奇世界」を写真にとってまとめた一冊です。

左の写真は、鹿島工業臨海地帯(茨城県)のプラント。
手前の巨大な工場群を跨いだような、赤白に塗られた巨大な煙突の足が印象的な一枚。
他にもこの煙突の煙を出している写真なども収められています。

d0137603_23451726.jpg松尾鉱山(岩手県)にある廃墟になったアパート。
緑に浸食されたコンクリートの塊です。

d0137603_23485450.jpg首都圏外郭放水路の地下貯水場の写真。
巨大なコンクリートに圧倒されます。

d0137603_2352552.jpg神奈川県磯子市のプラント。
夜霧に霞む、巨大な構造物です。

d0137603_23543240.jpgこれは、最後のページ。
よく見ると、飛行機が飛んでいます。
東京湾、羽田の風景です。

紹介した写真以外にも、まだまだたくさんの写真が掲載されています。
巨大で、非人間的で(ほとんどの物が人間が作った物ですが)、非日常な風景を収めた写真集。
何も考えずに見ても、深く意味を考えてみても楽しめる一冊です。


※大手取次ー書籍の卸屋さん。○-ハンとか□販のこと。たぶん、毎年、毎月、前年割れの販売を続けているので、より大きな売場(県下最大とか)をもつ書店を主眼に営業しているらしい。返品率は40%!の出版業界の中、それでも厳しいことに変わりはないようですが・・・。
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by 451books | 2009-01-04 00:20 | 写真・映画 | Comments(3)

ドアノーの写真集

d0137603_163614100.jpgパリの人々と風景を切り取った写真家、ロベール・ドアノーは、「パリ市庁舎前のキス」、「ピカソのパン」でよく知られています(きっと一度は目にされているはず)が、彼の撮ったパリの子どもたちも、とても魅力的です。

写真の表紙のが異なる2冊は、彼の「LES DOIGTS PLEINS D’ENCRE(インクにまみれた指)」。日本語版と仏語版ですが、中身の写真やレイアウトは同じです。


d0137603_1725429.jpg50〜60年代のパリ、ドアノーの学校や空き地で遊ぶ子どもたちの写真に、カヴァンナが文を綴っている写真集です。
教室の風景では、Fabrique 451でもおなじみ、赤毛のアンでも有名なエピソードな、黒板も登場しています。

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d0137603_1738073.jpgドアノーの写真集も他の写真集と同じように、ほとんどのものが絶版です。

今回、451ブックスに届いた2冊も1989年、1994年、に出版されたもの。
少しキズやスレ、ヤケがありますが、今の写真に失われたものが存在する写真集です。
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by 451books | 2008-10-25 17:46 | 写真・映画 | Comments(4)

シェルブールの雨傘

d0137603_10495295.jpgジャック・ドゥミ監督でもっとも有名な作品「シェルブールの雨傘」。日本語版DVDが廃盤になって久しい作品です。

カトリーヌ・ドヌーブの出世作、ミッシェル・ルグランの旋律、なりよりもジャック・ドゥミ監督の美しい映像がたまらない作品です。
仏語版なのでなかなかセリフを理解することは難しいのですが、今回、英語字幕があることに気がついて、表示しながら見ていると結構理解できるのです。ミュージカルなので元々難しい表現はされていないので、英語ができる錯覚が・・・。

今回のコレクターズエディジョンには、特典DVD「ジャック・ドゥミの世界」
が付属しています。残念ながら特典映像は英語字幕が選べないのですが、その中身に感動してしまいます。
ジャック・ドゥミの作品のほとんどは今では見ることのできない(廃盤、そもそもDVD化等されていない)のですが、彼の作品を彼の言葉と出演者などで追っていくこのドキュメンタリーは、ところどころに作品の1シーンが紹介されているのです。
彼の表情や声が聞けることはもちろん、その映像が楽しめる逸品です。

451ブックスの紹介ページ → シェルブールの雨傘(仏語DVD)
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by 451books | 2008-04-11 11:30 | 写真・映画 | Comments(2)

トランクの中の日本

d0137603_1411873.jpg1945年から1946年にかけての日本の写真をまとめた「トランクの中の日本」。
アメリカに日本が降伏すると同時に、日本に上陸した従軍カメラマンが私用カメラで撮った写真集は、原爆や焼夷弾で破壊された日本が多く写し撮られています。
イラクをはじめ今でも多くの土地で、戦争による破壊が起きている今、同じ景色を見ているような不思議な感覚が襲ってくるのですが、全くの傍観者に感じる世代に生きている自分たちがもっと不思議なのかもしれません。
写真を読むことの出来る普通の感性を持った人なら、感動ではなく、衝撃を与えられる写真集です。


d0137603_21501483.jpg直立不動の少年。この写真を見て、いがぐり頭や粗末な服、屋外にもかかわらず靴も履いていないことにも目がいきますが、背負っている背中の子どもは彼の弟です。力なく見えるのは既に屍との説明が付けられています。
長崎の河原で多くの屍が火葬されている場所での写真、この後、背中の弟は下ろされ火の上に乗せられ、彼は軍人のように直立不動で見送り、去っていったと書かれています。
弟への思いを押し殺した彼の行動に感動するのではなく、彼を直立不動とさせているもの、他の全ての写真に、今でも此処彼処にある一見普通に見える、でもどう考えてもおかしいこと、この写真集の意味は2008年でも全く同じ立ち位置にあるように思います。

451ブックスの紹介ページ → 「トランクの中の日本」
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by 451books | 2008-03-23 22:57 | 写真・映画 | Comments(3)
d0137603_11584032.jpgDVDには、リージョナルコードと言って、国地域別に視聴できる地域を限定される仕組みが採用されています。アメリカは「1」、日本は「2」なので、アメリカで買ってきたDVDを普通は見ることが出来ません。VHSではそんなコードがなかったので、言語のことを除けば問題なく視聴出来ていました。10数年ほど前には、アメリカで見かけてまだ日本未発売だった「ウォレスとグルミット」を買って帰ったこともありました。

d0137603_11405230.jpg今回、ブラボーがパリに行くとのことで頼んでいたのが「ロシュフォールの恋人たち」。日本版は久しく廃盤ですが、コレクターズエディションと銘打ってのフランスで再発されていたのです。
このDVDのリージョナルコードは「2」(ヨーロッパと日本は同じ)ですが、再生方式がPAL方式となって、日本やアメリカのNTSC方式と異なりDVDプレーヤーで再生できない場合があります。幸いMacや自宅のDVDプレーヤー(PAL→NTSC変換内蔵機種)ではそのまま再生可能でした。
紙ケースに入れられて、本編(120分)と特典映像(63分)のDVD2枚組です。

d0137603_1457449.jpg特典映像は、「Les Demoiselles ont eu 25 ans(25才になった恋人たち)」。1992年、「ロシュフォールの恋人たち」公開されて25年目に、カトリーヌ・ドヌーブやミッシェル・ルグランが改めてロシュフォールに訪れた記録をまとめたものです。
1時間ほどの間に、制作当時のメイキングや、NGシーンなども収録されています。当時の出演者のインタビューも多く収録されており、映画についての想い出や、今は亡きジャック・ドゥミや、フランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブの実姉)についても語られています。
ふたりが踊った部屋や、町並みが今でもロシュフォールに存在し、彼らの名前が通りや広場に付けられています。ロシュフォールの町並みがこの映画のために彩られたことや、今もなお多くの人びとに愛されていることがわかります。
もちろん、全編フランス語で、言っていることを理解することはフランス語がわからなければ不可能なのですが、映像を見ているだけでも十分、この映画にかけられた思いを感じることが出来る貴重な映像です。

451ブックス 商品ページ → ロシュフォールの恋人たち
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by 451books | 2008-02-14 15:31 | 写真・映画 | Comments(0)

ジャック・ドゥミの世界

d0137603_18392914.jpg「ロバと王女」が岡山では昨年、シネマ・クレールで上映されました。この作品、ジャック・ドゥミ監督の幻の作品。もちろん、451ブックスは、喜々として出かけました。1970年の時代性ももちろん、キッチュな内容は観る人を選んでしまう程、衣装も演出も舞台も個性的な映画です。

d0137603_17215469.jpg1966年に公開された「ロシュフォールの恋人たち」。クルマのコマーシャルに冒頭の音楽が使われていることもあって必ず耳にしたことのある音楽は、ミッシェル・ルグランによるものです。キャストは、カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアック(実姉)、ジョージ・チャキリスなどですが、なによりも映像の美しさとミュージカルな演出が必見です。舞台となったロシュフォール市の協力や贅沢な予算で、ジャック・ドゥミのイメージがそのままできあがったようなベストな作品だと思います。

d0137603_1901874.jpg1996年にフランスで発売された「Le Cinéma enchanté de Jacques Demy(ジャック・ドゥミ、魅惑の映画)の表紙も「ロシュフォールの恋人たち」の撮影の一場面です。モノクロの写真にカトリーヌ・ドヌーヴの帽子、バッグ、ワンピースの一部分にピンクの着彩がされている表紙、ジャック・ドゥミも写っています。

d0137603_1811474.jpgジャック・ドゥミの誕生から始まり、なぜ映画を撮るようになったかなど幼少期の写真や、自主映画の撮影風景などの写真や資料が掲載されています。もちろん、彼の映画の本なので、それぞれの作品の撮影風景、制作秘話、スチール写真も見ることが出来ます。

d0137603_18211476.jpg写真は、「シェルブールの雨傘」の一場面、背景はミッシェル・ルグランのスコアですね。ドゥミとルグランの打合せ風景の写真なども掲載されています。

d0137603_18263793.jpg「ロシュフォールの恋人たち」の一風景です。他にもスチール写真が幾つか、休憩中の写真や、撮影位置や立ち位置を記入した図面なども掲載されています。

d0137603_18312277.jpgこの写真は、「ロシュフォールの恋人たち」に登場する、街の中心にある二人(ドヌーヴとドルレアック)の母親が経営しているという設定のカフェです。モノクロ写真ですが、インテリアは、今でも通用しそうな感じが伝わります。

「ロバと王女」は、現在DVDで販売されていますが、ジャック・ドゥミ作品のほとんどは、残念ながらDVD化されておらず、DVD化された「ロシュフォールの恋人たち」も「シェルブールの雨傘」等々も廃盤状態。
この本も、日本語に翻訳されることもなさそうですが、フランス語版のみで発売されました。
ジャック・ドゥミの映画の世界、出来ることならいろんな人に楽しんでもらいたいと思います。
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by 451books | 2008-01-08 18:52 | 写真・映画 | Comments(4)