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風が吹くとき

d0137603_19525162.jpg レイモンド・ブリックス作「風が吹くとき」は、1982年にイギリスで発行された核戦争をテーマにした絵本です。

 「大人のための絵本講座2011」の第3回(7/15)に取り上げることを予定している絵本です。
レイモンド・ブリックスは、「スノーマン」で有名ですが、「風が吹くとき」はアニメ化もされ、当時大きな話題になりました。
 この「風が吹くとき」を取り上げることは、昨年から決めていたのですが、この絵本の内容のタイムリーで有ることに驚いています。


d0137603_19545231.jpg 舞台は、美しい緑や空、風景のある、でも何処にでもあるような普通の郊外です。
 写真は、最初のシーン。友達の車で町から送ってもらったジムが車から降りて、いつものように自宅へ向かうところです。

 登場人物の二人は、老夫婦のジムとヒルダ。
 夫のジムの退職後、この郊外で、毎日を二人で平凡に暮らしています。



d0137603_1954218.jpg 新聞や、ラジオから日々知らされる不穏な国際情勢を憂いているジム。
 ある日、3日のうちに核戦争が始まることを知らされます。
 ジムは、町の図書館で新聞を読むのが日課です。絵本では、THE TIMES(メジャーな新聞ですが、堂々と表記されてます)や、 FINANCIAL TIMES(日経のような新聞。こちらも実名で表記)を読んでいるジムが扉絵です。
 現在の状況だと、その実名が信頼できない日本の大手新聞やマスコミのように見えてきます。



d0137603_19552456.jpg ジムは、図書館からもらったパンフレットや、州政府の広報を元に、核シェルターを作り、科学的と言われる方法で準備を始めます。
 シェルター代わりにドアを指示通り60度の角度で立てかけ、ショウガクッキー2袋、スポンジケーキ半分、パイナップルの缶詰など14日分の食料を準備し、窓を白色に塗り、家の中に作ったシェルターに待避。
 その準備の途中、ミサイルは発射され、二人はシェルターに隠れます。
 核爆発は起こり、家や庭、村は大きく破壊されます。体は無事だった二人は、そのまま暮らし続けますが...。


 29年前の絵本にもかかわらず、今日本で、起きていることが描かれているようにさえ感じます。今の福島原発にまつわる東京電力、政府の対応やマスコミ、専門家たちが流す風評に惑わされ、翻弄される人々。
 ジムとヒルダのような二人を作りつつある現在、影響の大きく致命的ですらある子どもたちに対しても大きな配慮を望みます。
(こんな風評を厚生労働省は流さないでほしい→厚生労働省のパンフ「水と空気と食べものの安心のために」

 451ブックスの紹介ページ → 「風が吹くとき


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Commented by いずみかわこうじ at 2011-04-17 22:47 x
遥か昔、20年前以上、広島に住んでいたとき、そごうの紀伊國屋で見て(立読み良くないですね)衝撃を受けました。核爆発のあとのページをめくるのはとても重かったのを記憶しています。絵と登場人物ががほのぼのとしているだけに。こういうときが身近におこるとは(過ぎたこととしてのみ思い)その時はそう思いませんでした。遅いコメント済みません。
Commented by 451books at 2011-04-18 20:51
いずみかわこうじ様
このラスト、クレヨンしんちゃんとか、サザエさんで作ってみると、もっと人に伝わるのかもしれません。
僕も広島で暮らしていましたが、目の前の原爆ドームと日常のミスマッチに戸惑っていました。
すこしでも多くの方に読んでもらいたい絵本ですよね。
by 451books | 2011-04-12 20:15 | 絵本・児童書 | Comments(2)